15.ディジタル信号への変換

アナログ・ディジタル変換

  アナログ信号 →  ディジタル信号
 (連続的な信号) (数値で表される信号)


離散化
 標本化:時間軸についての離散化(サンプリング)
    (変数のある区間の値を一つの値で代表させる)
 量子化:測定値(関数値)に対する離散化
    (振幅方向の値を適当な個数の代表値で
     置き換える)

符合化
 量子化された数値を2進数に変換する


標本化

 サンプラ
  連続時間信号を一定時間間隔でサンプリングし,
  離散信号に変換する
  瞬間的に開閉し,非常に短い時間だけ入力信号を
  出力に接続する機能を持っている理想スイッチ

 サンプルホールド回路
  入力信号をサンプリングし,一定時間保持する
  ための回路
  アナログスイッチと積分器から構成される


量子化

 コンパレータ(比較器)
  入力量と基準量を比較する

 A/D変換器

  2重積分方式
   入力電圧と基準電圧をそれぞれ積分して比較
   低速の用途
   
  逐次比較方式
   D/A変換器の出力が入力電圧と一致するように
   レジスタを制御
   中速の用途

  並列変換方式
   多数のコンパレータで一度に変換
   画像処理など高速の用途


  一般的には,離散化,量子化,符号化をまとめて
  ハードウェアで行う


16.ディジタル信号処理における問題点・留意点

サンプリングの問題

 どのぐらいの周期(周波数)でサンプリングすれば
 原波形を再現できるか?

 急速に変化する信号に対しては短い時間間隔で
 サンプリングしなければならないし
 ゆっくりとした変化の信号であれば
 多少粗くても充分である

 信号に含まれている周波数成分との相対的な関係で
 サンプリング間隔を選ぶ必要がある

 サンプリング定理
  [Hz]以上の周波数成分を含まない信号は
  [sec]以下に選べば,離散信号から
  元の時間連続信号を完全に復元できる

  ここで,をナイキスト周波数という


 サンプリング定理に従わず,ナイキスト周波数以下で
 サンプリングすると,エイアリシングという現象が
 生じる

 エイアリシング(エリアシング)
  本来は,元の信号に含まれていない
  低い周波数成分が出現する現象
  周波数領域ではスペクトルでの折り返しひずみ

 サンプリングの前に不要な高い周波数成分を
 取り除いておく必要がある
        ↓
 アンチ・エイアリス・フィルタ 
  エイアリシングを防ぐための低域濾過フィルタ

 例:
  5kHzまでの周波数成分を観測するなら
  サンプリング周波数は10kHzにして
  カットオフ周波数3kHzぐらいのフィルタを用いる


量子化誤差

 切り捨て→打ち切り誤差
 四捨五入→丸め誤差

 例:
  12bitのA/D変換器では,±1[V]のアナログ信号は
  4096段階(−2048〜2047)に量子化される
  このとき,量子化誤差は[mV]となる

 一般的なアナログ信号のSN比は
 50〜70dB程度なので,12bit(約72dB)か
 それ以上のものが用いられる

 充分な精度で量子化されていれば
 量子化誤差は問題とならない


 例:
  コンパクト・ディスクの規格
   サンプリング周波数 
    44.1kHz
   量子化レベル
    16bit(96dB)

  (参考)
   人間の聴覚特性
    20Hz〜20kHz
    120dB

  電話回線
   帯域は3500Hz
   余裕をみて8kHzでサンプリング


観測範囲の問題

 DFTの計算において,信号の一部分のみから
 値を計算していることにより生じる問題

 無限に続く信号の一部を窓を通して観測し
 その有限な幅を1周期として,無限に続く
 周期関数をフーリエ変換していることになる

 観測データのつなぎ目に不連続点が生じ
 ギブス現象が起きる
         ↓
    窓関数による処理が必要


 窓関数
  方形窓
   

  ハニング窓
   


  ハミング窓
   

  ブラックマン窓
   


 データの長さが信号の周期の整数倍に
 一致しない場合は方形窓は使うべきでない

 2つの周波数成分が接近している場合は
 ハミング窓がよい

 周波数成分があまり接近しておらず,かつ,
 非常に小さな成分まで検出する場合は,
 ハニング窓かブラックマン窓がよい