17.デルタ関数

 では∞の値を持つが,以外のところでは
 0であり,その面積は1であるようなパルス,つまり

  
  

 と表される関数を
 デルタ関数あるいは単位インパルスという

 時間軸上でだけ右に移動したデルタ関数
 アナログ信号を掛け,区間で積分すると
 以外では0であり,
 以外では0であるから

  

 におけるの値だけが残る
 つまり,この操作はアナログ信号
 においてサンプリングしたことになる


 周期ごとに配置されたインパルス関数列
 とアナログ信号の積で
 サンプリングされた離散信号

  

 と表現できる
 このようなサンプル値の数列
 簡単のためと表す


18.z変換

 離散信号のz変換をとして
  
 と定義し,これを両側z変換という

 右辺の級数が収束しないときは,のz変換は
 存在しないとする


 となる系列を考えれば,上の式は

  

 となり,これを片側z変換という
 一般的には,片側z変換をz変換とする

 ここでは,大文字のZでz変換を示すことにし,
 のz変換を

  

 と表す


z変換の例

 単位ステップ関数

  

 をz変換の定義式のに代入すると

  

 は正の整数に対して常に1であるから

  

 という無限公比級数となる

 ならば,この式は収束し
 次のように表すことができる

  


z変換の性質

 線形性

  

  2つの系列をあらかじめ加算した
  z変換は,それぞれを別々に求めた
  の加算で表すことができる


 推移性

  信号系列を時間的にサンプルだけ遅らせた
  のz変換は

  

  ここで,とおくと

  

  このはもとの系列をサンプルだけ
  遅らせたことに対応する


 初期値の定理

  の初期値を求めてみる

  

  とすれば,∞で割ることになるので,
  右辺の第2項以降はすべて0になる

  

 最終値の定理

  の最終値,すなわちとしたときの
  の値は

  


19.逆z変換

 周波数領域に移された現象を離散時間領域に戻す操作

 ここで,逆z変換は

  

 で表すとする

 解析的には,複素積分が必要だが,多くの場合,
 機械的に求めることができる


 zのべき級数に展開する方法

  

 と示されるから,

  多項式の比で表されているときは,
  分子を分母で割ることによって,
  べき級数展開ができる


 例:

  

  この割り算を計算すると

  

  これより

  


 部分分数展開による方法

  分数式を部分分数展開し,逆変換が容易に
  求められる簡単な因数の和の形で表すことによって
  逆z変換を行う

 例:

  

 分母の3つの因数で部分分数に展開する


 つまり

  

 のように展開して,係数ABCを求める

 係数Aについては

  

 同様にBCを求めると,結局

  

 のように展開できる

 以上より