21.インパルス応答

 z変換を用いたシステム関数による表現は
 離散的線形システムの周波数領域での扱い

 時間領域での扱いとして,インパルス応答を考える

 インパルス応答とは,以下のような単位インパルス
 (デルタ関数)
  
  

 をシステムに入力したとき
 出力に現れる信号のことをいう
 この応答がシステムを表す関数そのものとなる

 時刻において,という入力信号を
 システムに加えた場合,その出力信号は
 と表せる

 この関係は,時刻でも同様であり
 という入力に対しては
 という出力が得られる


 線形システムでは,重ね合わせの原理が成り立つので
 入力信号の全体に対する応答波形は
 1つ1つの入力パルスに対するそれぞれの
 応答波形を加えたものになる

 一般に,サンプリングされた離散信号の数列
 周期ごとに配置されたインパルス関数列
 とアナログ信号の積で
    
 と表現できた

 そこで,インパルス応答の系列をとすると
 離散信号を入力した場合の出力
  
 と表現できる
 (上記の信号系列は,簡単のためそれぞれ
 と表す)


 これは連続系では
  
 と表現され
 畳み込み積分あるいはコンボリューションなどと
 呼ばれる

 畳み込み積分は
  
 もしくは
  
 と表現される

 以上の関係を再び周波数領域で考えてみる

 入力信号,出力信号,インパルス応答
 フーリエ変換をそれぞれ
 
 とすると
 時間領域での畳み込み積分は
 周波数領域では積の形で表現され
  
 となり,は,システム関数(伝達関数)を
 示す


 の導出

 畳み込み積分の両辺にフーリエ変換を
 施すと
  

 ここで,積分の順序を変え,τの積分範囲も
 一般的にするために書き換える
 すると
  

 ここでとおくと,だから
  


 この式の括弧内は明らかにとなるので
  
 が得られる

 は交換可能なので
  
 である

 以上より
  
 となり,畳み込み積分のフーリエ変換が示せた

 ところで,デルタ関数のフーリエ変換は
  
 であるので,単位インパルスを入力したときの
 応答のフーリエ変換は
  
 となり,システム関数そのものになる

 離散系であれば,z変換を用いたシステム関数に
 対応する


22.差分方程式

 連続系システムの時間領域での入力と出力の関係は
 微分方程式を用いて表す
 それに対して,離散系システムでは差分方程式で表す

 例:
 抵抗()とコンデンサ()から構成される
 積分回路における入力と出力の関係は
 次の微分方程式で表される
  

 これに対応する差分方程式は
  
 である
 
 現在の出力信号が,現在の入力信号
 1サンプル過去の出力信号
 それぞれ定数を乗算したものの和によって
 表されることを示している


 積分回路に単位ステップ信号を入力したときの
 出力は,先の微分方程式を解くことにより
  

 ただし,とする

 一方,先の差分方程式で表されるシステムに
 離散的単位ステップ信号を入力したときの
 出力は,以下のようになる
 (ここでも,とする)

 
 
   

 の場合,この式は,積分回路と同様の働きをする
 ことが分かる


 先の差分方程式をz変換すると
  
 システム関数は,出力と入力の比
  
 で定義されるので
  
 となる

 システム関数の周波数特性は
 サンプリング周期をTとして
  
 と置き換えることで求められる
 
 すなわち
  
 となる

 この式の振幅特性は
  


 一方,元の積分回路の周波数特性は
  
 である

 この式の振幅特性は
  

 これらの周波数特性の比較により
 周波数が0から1/2Tまでは
 連続系と離散系で同様の働きをすることが
 分かる

 このことは,サンプリング定理と関わっている