23.フィルタ

 フィルタの分類

  (1) 低域通過フィルタ
  (2) 高域通過フィルタ
  (3) 帯域通過フィルタ
  (4) 帯域阻止フィルタ

 理想的な周波数特性(振幅特性)は,図5.2

  通過域:信号が通過する帯域
  阻止域:信号が通過しない帯域

 実際のフィルタの周波数特性においては
 過渡域または遷移域と呼ばれる帯域がある 


 バタワース特性

  振幅特性が最も平坦なため,最大平坦特性ともいう
  一方,遮断特性がよくないのが欠点

 チェビシェフ特性

  通過域にリップルを持つが,遮断特性が急峻


24.ディジタルフィルタ

 構成
  AD変換器:標本化,量子化
  マイクロプロセッサ:演算
  DA変換器:連続時間信号化

 長所
  ハードウェアとして実現する場合,LSI化が可能
  ビット長を長くすれば,高精度のフィルタが実現可能
  製品ごとのばらつき,経年変化などが生じにくい
  同一のハードウェアでも特性を容易に変えられる

 短所
  扱える信号の最高周波数はせいぜい数百kHz程度
  回路規模が大きくなり,コスト・パフォーマンスが
  低くなる場合がある
  有限のビット数で近似されているので,誤差や雑音が
  生じる可能性がある



ディジタルフィルタの例

 移動平均

  一種の低域通過フィルタと考えられる
  (信号の平滑化に用いる)

  データ数5の場合の移動平均は
  次の差分方程式で表せる
 
   

  このフィルタのシステム関数は
  次のようになる

   

  この周波数特性を求めるためと置き換え
  さらに,その絶対値を求めると
  振幅特性は次のようになる

   


 差分フィルタ

  アナログ回路では,微分回路に相当する

  差分方程式として,次のものを考える

   
   
  このフィルタのシステム関数は
  次のようになる

   

  この周波数特性を求めるためと置き換え
  さらに,その絶対値を求めると
  振幅特性は次のようになる

   


ディジタルフィルタの種類

 FIRフィルタ

  インパルス応答が有限の長さだけ持続する
  フィルタ
  非巡回型フィルタ,非再帰型フィルタともいう

  このフィルタの入力と出力
  このフィルタのインパルス応答を使って
  以下のような差分方程式で表現できる
   
  
  また,システム関数は次のようになる
   

  がフィルタの次数

  長所
   出力から入力へのフィードバックがないので
   常に安定している
   完全に正確な直線位相特性を実現できる

  短所
   鋭い減衰特性を実現するには,高い次数の
   フィルタが必要となる


IIRフィルタ

  インパルス応答が無限に続くフィルタ
  巡回型フィルタ,再帰型フィルタともいう 

  このフィルタの入力と出力
  このフィルタのインパルス応答を使って
  以下のような差分方程式で表現できる
   

  これでは,積和の計算を無限に行うことになり
  計算が終わらないので,以下のように計算する
   

  これは,現在の出力を計算するのに過去に得られた
  出力を使っていることになる
  
  このシステム関数は次のようになる
   


  長所
   FIRフィルタより少ない次数で遮断特性の
   急峻なフィルタが実現できる

  短所
   帰還路を持つので,常に安定とは限らない
   振動を起こす場合がある