シミュレーション工学

Nr. 10





小堀

「計算機システムのシミュレーション」

1.概要


目的
 設計した計算機や通信システムの性能をシミュレーションによって解析する

特徴
 システムレベルのモデル化
 性能の立場から解析するので,性能に関連するシステム要素のみを表し
 ている

入力データ
 プログラム内で確率的に発生させるか,外部で発生させる
 →トレース駆動:実際のシステム実行のトレースを入力とする

構成要素(エンティティ)
 能動的エンティティと受動的エンティティ

動的エンティティ
 アクティビティ,プロセス,イベント

アクティビティ:仕事の最小単位
プロセス:論理的に関係したアクティビティの集合
イベント:エンティティの状態の変化

2.smpl と SMPL


smpl
 イベント中心のシミュレーション言語
 小,中規模のモデルに向いている
 ホスト言語の機能の拡張
  サブシステム:ライブラリー・ファンクションの集まり
  ホスト言語:FORTRAN,BASIC,C,Pascalなど
 シミュレーションの種々の動作はサブシステムのファンクションへのコール
 として実行される

SMPL
 シミュレーション環境
 (デバッグなどのツール,インタラクティブなインタフェースなど)

ファシリティ:受動的エンティティ,CPUやバスのように仕事をする資源
トークン:能動的エンティティ,タスクやパケット,メモリへのアクセスなど
イベント:エンティティの状態の変化,アクティビティの動作の結果


3.待ち行列システム


待ち行列表記法(ケンドールの記号,p.63):
  A/S/c/k/m
A:到着時間間隔,S:サービス時間,c:サーバーの数
k:システム中のカスタマーの最大値,m:発生源でのカスタマーの数
 (kとmは無限と仮定される場合省略される)
分布の表す記号例
 D:一定
 M:指数分布

性能指標
 観測期間をT,到着数をA,サービス完了数をCとすると
  到着率: λ=A/T
  処理率: X=C/T
 観測期間が充分長ければ,λ=Xになる
 平均サーバービジー時間をBとすると
  サーバー利用率:U=B/T
  カスタマー当たりの平均サービス時間:Ts=B/C
 利用率の法則
  U=XTs
 リトルの法則
  観測期間におけるシステム中の平均カスタマー数をL,
  カスタマーの平均滞在時間をWとすると
  L=XW

4.シミュレーション例


単一サーバー待ち行列システム
 カスタマーの到着時間間隔,サービス時間:指数分布
 →M/M/1

[IMAGE image/sim10-1.gif]

[IMAGE image/sim10-2.gif]

 

[IMAGE image/sim10-3.gif]

 

 解析モデルとシミュレーションモデルの両方を用いる

参考文献
 M.H.マクドゥガル著:「シミュレーションによるコンピュータ・システム
  の性能評価:テクニックとツール」,工学社(1990)


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