シミュレーション工学

Nr. 12





小堀

「スーパーコンピュータとシミュレーション」

1.スーパーコンピュータの概要


広義
 並列性を活用した超高速の演算能力をもった計算機

狭義
 ベクトルパイプライン方式による科学技術計算を目的とした計算機

歴史と性能動向(p.74 図5.1)
 1964年 CDC6600,ENIACの3000倍,約1 M FLOPS,スカラプロセッサ
 1972年 ILLIAC IV,50〜80M FLOPS,ベクトルプロセッサ
 1976年 CRAY-1,160M FLOPS
 10年で100倍程度の性能向上
 21世紀には,1T FLOPSの性能に達するといわれる

FLOPS(FLoating-point Operations Per Second):
 1秒間に行う浮動小数点演算の回数
 計算機の速さを表す単位
 1 M FLOPSなら1秒間に百万回の演算

ベクトルパイプライン方式
 FORTRANのDOループで表されるベクトル演算を高速化するもの
 一連の処理をいくつかの基本的なステージに分解し,データを流れ作業的に
 供給することによって,処理結果を毎サイクル得ることが可能になる
 →時間的な処理の並列化

[IMAGE image/sim12-1.gif]

立ち上がり期間(A)に比べて,処理結果が連続して得られる期間(N)が
十分大きい場合,処理効率がよい



マルチプロセッサ方式
 単一プロセッサの素子性能の向上やパイプラインの本数の増加
    ↓
 プロセッサの多数化(10台程度)
 密結合型(共有メモリ型)が多い

逐次型プログラムの枠内での並列性の抽出やハードウェアの工夫による高速化
には限界がある

並列計算機
 多数のプロセッサを空間的に配置する
 密結合型では限界
    ↓
 分散メモリ型並列システム
 →空間的な並列性

超並列計算機
 数千台あるいは数万台規模の要素プロセッサを持つシステム
 まだ研究段階にある

2.計算物理学


実験物理学
 実験および観測装置を用いた方法
理論物理学
 数学的な手法
計算物理学
 高速計算機による数値解析を行い,物理系を解析し,基礎法則からどのよう
 に複雑な現象が生起するかを理解し,また新たな自然現象を予言を行おうと
 する分野

応用分野例(p.82も参照)
 流体力学(乱流の生成機構,気象予測,飛行機設計など)
 物性物理学(高温超伝導の発現機構など)
 素粒子物理学(素粒子の相互作用など)
 宇宙物理学(宇宙の誕生,ブラックホールの生成など)

CP-PACS計画
 演算ノード数1000台以上,理論ピーク演算性能300G FLOPS以上の
 科学技術用超並列計算機を開発,製作
 素粒子物理学,宇宙物理学,物性物理学など計算物理学の研究を推進する

参考文献
 「小特集 スーパコンピュータとその応用」,電子情報処理学会誌,
  Vol.75,No.2 (1992)
 「特集 超並列マシンとその応用」,情報処理(情報処理学会誌)
  Vol.32,No.4 (1991)
 「特集 計算物理と超並列計算機」,情報処理(情報処理学会誌)
  Vol.37,No.1 (1996)


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