シミュレーション工学

Nr. 4





小堀

「モデリング」

1.モデリングの意義


理解,認識の過程には,対象の抽象化が必要
計算機での処理でも,計算機で扱える形式への変換が必要
      ↓
シミュレーションモデル
 シミュレーションのための抽象化表現

モデリング(モデル化)
 現実の世界の抽象化して,思考の世界に映す
 物,状態,システムの中のある部分を記述したもの
 →概念モデル,思考モデル

モデリングにおける注意点
 モデル化の思想(モデル構成概念)を統一すること
 モデルの範囲を確定すること
 モデルの範囲と構成要素は,どのようなシステムのどのような特性を調べる
  のかに依存

モデリングにおける現実世界のとらえ方
 対象と制御方策に分けてモデリング
 分けずに全体をモデリング

2.モデリングの手順


(1) 構造決定
 対象システムの構造の分析
 モデルに取り込むべき要因の選択
  多くの要因から主要なものを選択

 要因間の結合関係の分析
  関係の深いものを選ぶ



(2) 関数関係の決定
 構造分析の結果の定量化
 モデルの変数間の関係を記述する
 動的モデルと静的モデルがある

構造決定や関数関係の決定には人間の判断が必要

3.モデルの分類(p.21〜p.22)


1次モデル
 理論の基礎的な法則,基礎方程式
 近似のないモデル
 例:ニュートンの運動方程式
2次モデル
 重要な要素を選び近似
 理解の容易さ,計算時間の短縮のため近似が必要
 複数のモデル(対立するもの,相補的なもの)が併存する可能性

動的モデル
 時間的変化を表す→微分方程式
 変量の時間的変化に重点を置く場合(例:工学的制御モデル)
 時間的,空間的に細かく分割する必要←→記憶容量と計算時間の制限
 →近似解法の必要性
 分野専用のシミュレータへ発展
静的モデル
 時間的な経過を考慮しない→代数方程式
 定常状態での均衡状態を調べる場合(例:計量経済モデル)
 複雑で大規模な現象では,各時刻での空間的な状態を配分問題として解析し,
 時間的につなぎあわせる
 線形計画法,非線形計画法,整数計画法など

連続変化モデル
 微小な等しい時間間隔でシステムの変化を記述する
 連続系シミュレーション言語が対応
 離散変化モデル
 注目する事象の発生ごとに不等時間間隔でシステムを表現する
 離散系シミュレーション言語が対応

決定的モデル
 一連の条件から結果が一意的に決まる場合
 確率的要素を含まない
 入力と出力の関係がすべて確定的に決まる
確率的モデル
 因果関係が確率的に定まる場合
 1つ以上の確率的要素を含む
 解析的には解けない,直観的な見通しも立てにくい場合
 乱数を発生させ,試行を繰り返す→モンテカルロ法


講義概要に戻る