シミュレーション工学

Nr. 5





小堀

「モデルの手法」

1.確率的モデル


モンテカルロ法
多数のランダムな数値実験を繰り返し行うことにより,近似解を統計的に
求める方法
決定的な問題も確率現象に置き換えて適用できる
 例:定積分などの数学的な問題
現在は,確率的な挙動を示す現象に用いられる
 例:粒子の飛行や衝突などの物理問題

手順:
(1) 一様に乱数の発生
 区間(0,1)に一様に分布する乱数を発生させる
(2) 任意の確率分布に従う乱数の発生
 一様乱数を任意に与えられた確率分布(確率的モデル)の入力として与えて,
 その確率分布に従う乱数を得る

例:
円周率πの計算(ヒットミス法)
 正方形領域(0≦x≦1,0≦y≦1)内に一様乱数で点を打つと,それが
 半径1の4分円に入る確率はπ/4であることを使って,πを求める

 プログラム例:(奥野晴彦著:コンピュータアルゴリズム事典,技術評論社,より)

[IMAGE image/sim5-1.gif]

乱数の問題(クヌース著:準数値算法/乱数,サイエンス社,など)
必要な性質:
 等確率性
 無規則性
 周期性のないこと
 再現性

計算機による乱数:
 再現は可能だが,周期性がある→擬似乱数


2.統計的モデル


分類
(1)線形で静的
 回帰分析

(2) 線形で動的
 線形予測モデル

(3) 非線形で静的
 GMDH

(4)非線形で動的
 ボルテラ級数展開法


回帰分析(ガットマン他著:工科系のための統計概論,培風館,など)
ある1つの変量とそれに影響を及ぼすと考えられる他の変量の関係を定量的に
把握する場合に用いられる方法,変量間の線形な関係を近似的に求める
 目的変数:観測される,ある1つの変量
 説明変数:影響を及ぼすと考えられる他の変量
重回帰分析(説明変数が複数の場合)
というデータに対して

というモデルをあてはめ, が最小になるような回帰係数bを決定する

回帰係数bを決定→最小2乗法
回帰係数の有意性の検定→t検定もしくはF検定

線形予測モデル(伊藤正美監修:生体信号処理の基礎,オーム社,など)
 u(t):入力,y(t):出力

 AR(自己回帰)モデル
  
  過去の出力のフィードバックにより現在の出力が決まる

 MA(移動平均)モデル
  
  過去 n 時点までの入力系列の重み付き平均で現在の出力が決まる

 ARMA(自己回帰移動平均)モデル
  
  ARモデルとMAモデルを組み合わせたもの

観測データ以外を予測できるので,スペクトル推定に有効
次数(mやn)の決定が問題

参考文献
 有澤・斉藤著:モデルシミュレーション技法,共立出版(1997)


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