シミュレーション工学

Nr. 7





小堀

「離散系シミュレーション」

1.離散系シミュレーションの概要


離散変化モデル
 システムにきわだった変化をもたらす主要な事象(イベント)に着目し,
 その生起に伴うシステムの変化を記述するもの
 待ち行列型モデルが代表的

 ・事象はそれ自身時間経過を持たない
  時間消費要素:事象と事象との間をつなく活動や作業
 ・事象の生起は通常不規則,刻時は不等時間間隔
  クロックは主要な事象で刻まれる
 ・システムの変化に本質的な影響を持たない活動は省略される
  事象と事象の間の現象は通常無視される

例:公衆電話モデル

6つの事象
 ・利用客の到着
 ・待ち行列の構成
 ・待ち行列の開放
 ・通話の開始
 ・通話の終了
 ・利用客の消滅

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離散系シミュレーション言語の特徴
 ・モデル構成概念(ワールドビュー)の提供
 ・時間の管理
 ・確率過程の生成
 ・デバッグ機能

2.GPSS(General Purpose System Simulator)


1961年にIBMで開発
GPSS V 最上位バージョン
GPSS WORLD 連続と離散の両系の機能を持つ
トランザクションを中心としたモデル構成概念を持つ



動的要因
 トランザクション:一時要素,時間の経過とともにシステムを流れる対象
  例:窓口でサービスを受ける客,車両,船舶,飛行機

静的要因
 ファシリティ:同時に1個のトランザクションが入って使用できる機器設備類
  例:公衆電話
 ストレージ:同時に複数個のトランザクションが入って使用できる機器設備類
  例:駐車場
 論理スイッチ:オンとオフ,0と1といった2つの状態をとる対象を表現

ブロック命令
 トランザクションが流れる道(パス)を構成する
 特定の働きや機能を持ったもの
 モデルをブロックダイヤグラムで表す

3.SIMSCRIPT(SIMulation SCRIPTor)


1961年にRAND社で開発
FORTRANの拡張,プログラムの混在が許される
汎用プログラミング言語でもある
SIMSCRIPT II.5 最新バージョン
イベントを中心としたモデル構成概念から
プロセスを中心としたモデル構成概念に移った

エンティティ(構成要素)
 静的要素:対象システムに存続し続ける要素
 動的要素:時間の経過とともに生成・消滅する要素
アトリビュート
 要素の特性を示す属性
イベント
 外生事象:システム外からの力で引き起こされるもの
  例:混雑の原因が天候による場合
 内生事象:システム内部で引き起こされるもの
  例:混雑の原因が店の前の行列による場合

4.SIMULA(SIMUlation LAnguage)


1965年にノルウェー計算センターで開発
ALGOL系の言語
プロセスを中心としたモデル構成概念
オブジェクト指向言語の源流
汎用プログラミング言語でもある

参考文献
 「特集 シミュレーション技術の最近の動向」,情報処理(情報処理学会誌)
  Vol.37,No.3 (1996)より,
 中西:「離散系シミュレーション言語GPSS VおよびGPSS WORLD」
 中西:「離散系シミュレーション言語SIMSCRIPT II.5」


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